ダッフルコートの素材の選び方 — メルトン、ウール混、Super表示ってなに?

ダッフルコートの選び方 ・ ・

ダッフルコートの素材表示、じっくり見たことはありますか? ウール100%のものもあれば、ナイロンなどが混ざったものもありますよね。

この記事では、素材表示や商品説明に出てくる言葉の意味をまとめます。手がかりは、百科事典や辞典、生地の表示規約などです。

ダッフルコートの定番、メルトンってどんな生地?

紺のメルトン生地の、毛羽が詰まった表面のクローズアップ(AI 生成イメージ)
紺のメルトン生地の、毛羽が詰まった表面のクローズアップ(AI 生成イメージ)

英語版 Wikipedia によると、今のダッフルコートはメルトン地が多いそうです。では、メルトンとはどんな生地なのでしょう。

百科事典によると、メルトンは毛織物の一種です。縦糸も横糸も紡毛糸(ぼうもうし)で、平織か綾織に織ります。そのあと縮絨(しゅくじゅう)させて仕上げます。

用途には、厚手のオーバー地が挙げられています。名前は、英国レスター州のメルトン・モーブレーに由来します。

メルトンの表面、なぜ織り目が見えない?

うろこ状の表面をもつ羊毛の繊維が、水と泡の中でからみ合っていく様子(AI 生成イメージ)
うろこ状の表面をもつ羊毛の繊維が、水と泡の中でからみ合っていく様子(AI 生成イメージ)

ひみつは、織ったあとの加工にあります。まずは縮絨。百科事典によると、羊毛に水や石けん液などを含ませ、熱や圧力、振動を加える加工です。すると繊維が密にからみ合い、離れなくなります。羊毛の表面のうろこ状の外皮(スケール)が、この働きに大きく関わっています。

次が起毛です。メルトンは、強く縮絨するか、縮絨のあとに起毛して、地が見えないように表面を毛羽立てます。毛羽を短く刈って、ブラシをかける工程を挙げる辞典もあります。起毛には、柔らかく豊かな風合いや保温性の向上、織り目を隠すといった効果があります。

縮絨に向くのが、紡毛糸です。比較的短い原毛や再製毛からつくる糸で、縮絨しやすい性質があります。メルトンやフランネル、毛布などの厚地は、だいたい紡毛糸で作られます。

「ダブルフェイス」って、どんな生地?

角をめくると、紺とキャメルの二つの表がのぞく二重織りの生地(AI 生成イメージ)
角をめくると、紺とキャメルの二つの表がのぞく二重織りの生地(AI 生成イメージ)

商品説明で、「ダブルフェイス」という言葉を見かけることがあります。英語版 Wikipedia では、double-faced の生地は、二重に織る「重ね織り」の一種です。

多くは、1組の縦糸と2組の横糸で織ります。表が二つあって、裏がないのが特徴です。

こうした二重織りの生地は、一般に、厚くて重く、暖かい生地です。両面を表として使える、リバーシブルな作りでもあります。

ナイロン混やポリエステル混は、ウール100%に劣る?

クリーム色のウールの糸と紺の化学繊維の糸が、1本により合わさっていく様子(AI 生成イメージ)
クリーム色のウールの糸と紺の化学繊維の糸が、1本により合わさっていく様子(AI 生成イメージ)

百科事典によると、混紡は、それぞれの繊維の性能を高め、欠点を補い合うために行います。違いは優劣ではなく、どの性質を優先するかです。

たとえばナイロン混。羊毛70〜80%に、ナイロン30〜20%を混ぜた場合です。風合いや保温性、引き裂きや摩擦への強さが上がります。市場の代表的な製品も、ナイロン20〜30%・羊毛80〜70%です。混紡には、原料を安くするという経済的な理由もあります。

英国の生地メーカー Hainsworth を見てみましょう。ダッフル用の生地「Duffle」は、メリノウール80%・ナイロン20%です。ナイロンを加えるのは「for harder wearing results」(より丈夫に仕上げるため)だそうです。1966年には、実際に着て比べた試験もあります。生地は梳毛(そもう)のホイップコード。ナイロンを4分の1含む混紡は、純毛より耐久性が高い結果に。羊毛とレーヨンの混紡も上回りました。

ポリエステル混なら、ポリエステル35〜55%・羊毛65〜45%の混紡が辞典に載っています。軽くてしわになりにくい、風合いのよい強い布になります。用途には、コートなどが挙げられています。

カシミヤ混は、どこを見ればいい?

キャメル色のカシミヤ混の生地と、そばに置いたふんわりした原毛(AI 生成イメージ)
キャメル色のカシミヤ混の生地と、そばに置いたふんわりした原毛(AI 生成イメージ)

辞典によると、カシミヤはカシミヤ山羊から採る獣毛です。繊維の直径は約15μm、長さは3〜8cm。手ざわりが極めて柔らかく、軽いのが持ち味です。

その一方で、強度が比較的弱いことが欠点に挙げられています。

商品名に「カシミヤ」とあったら、組成表示でカシミヤが何%入っているかを見てみましょう。生地の中身が分かります。

「Super 120's」の数字は、何を表す?

太さの違う羊毛の繊維を、虫めがねで見比べる様子(AI 生成イメージ)
太さの違う羊毛の繊維を、虫めがねで見比べる様子(AI 生成イメージ)

ウールの生地には、「Super 120's」のような表示が付くことがあります。IWTO の生地表示規約によると、数字が表すのは羊毛の平均繊維径の上限です。Super 120's なら17.75μm、Super 140's なら16.75μmです。

「Super」と名乗れるのは、新毛100%の生地だけ。ただし、次の場合は例外として認められています。

羊毛45%以上の混紡生地では、「Super」の語は使えません。「120's」のように、数字だけを表示できます。米国の連邦規則も、同じ数値の表を定めています。

まとめ

当サイトの一覧は、ウールの割合で4つに分けています。ウール100%、80〜99%、50〜79%、50%未満から探せます。

トグルと丈で迷ったら、トグルの選び方と丈の選び方もどうぞ。生産国で選ぶなら英国製のダッフルコート、条件を決めずに探すならすべての商品から見られます。

この記事で確かめられなかったこと(4 件)
  • 当サイトはコートを着比べたり試験したりしていないため、着心地や暖かさの比較は書いていません。
  • 商品説明の「ダブルフェイス」が、どれも同じ二重織りの生地を指すかは確かめられませんでした。
  • 1966年の試験の生地は梳毛のホイップコードで、メルトンで同じ結果になるかは確かめられませんでした。
  • 日本の表示の決まりが、IWTO の規約と同じかは確かめていません。
出典(12 件)
  1. Duffel coat(英語版 Wikipedia)
  2. メルトン(コトバンク)
  3. フェルト(コトバンク)
  4. 起毛(コトバンク)
  5. 毛糸(コトバンク)
  6. Double cloth(英語版 Wikipedia)
  7. 混紡(コトバンク)
  8. Duffle(Hainsworth)
  9. Performance Characteristics of Whipcord of Wools versus Blends of Wools with Viscose Rayon or Nylon(Dowlen、1966、FAO AGRIS の記録)
  10. カシミヤ(コトバンク)
  11. IWTO Fabric Labelling Code of Practice(米 FTC 掲載の写し)
  12. 16 CFR § 300.20a(Cornell LII)

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