ダッフルコートとダウン、どっちが暖かい?
寒い朝、ダッフルとダウンのどちらを着るか、迷いますよね。どっちが暖かいのかも、気になるところです。この記事では、暖かさを左右するものを資料で確かめます。そのうえで、風や雪、気温に合わせた選び方をまとめました。
暖かさの正体は、動かない空気?

まずは、服が暖かいしくみから見てみましょう。被服環境学の薩本弥生教授によると、空気は熱をとても伝えにくいもの。重ね着とは、動かない「静止空気層」をたくさん作ることだそうです。
これは、ウールにもダウンにも通じる話です。イスファハン工科大学の修士論文の抄録を見てみましょう。ダウンの上着は、おもに中に空気をためて、熱が逃げるのを減らします。
同じ抄録では、詰め物を増やすと厚みが増し、そのぶん熱を通しにくくなりました。毛布などをマネキンで測った研究でも、似た結果です。風の弱い条件では、保温が厚みと連動していました。暖かさのカギは、空気の層の厚み。そこに、風と濡れの条件が加わります。
ダウンの暖かさは、タグのどこを見る?

ダウンは、鳥の表の羽(正羽)の下に生える、やわらかな羽毛です。百科事典によると、鳥の体ではおもに保温などに役立ちます。カモなどの水鳥では、体じゅうにびっしり生えています。
繊維製品品質表示規程では、詰め物を使うコートは、詰め物の組成も表示の対象です。羽毛は「ダウン」「フェザー」などの用語と、その割合で示します。羽毛どうしの割合には、プラスマイナス5%までの誤差が認められています。
ただ、ダウンの割合が高いだけでは、暖かいとは限りません。先ほどの抄録の実験では、ダウンを60%から80%に上げました。それでも、保温ははっきりとは上がらなかったそうです。同じ抄録は、フィルパワーも見る必要があると書きます。
フィルパワーは、一定の重さの羽毛が占めるかさのこと。試験機関 IDFL によると、米国は1オンス、日本や欧州は30gあたりで測ります。測り方は一つではなく、前処理の違いは換算しても補正できません。フィルパワーの数字は、同じ測り方どうしで比べるのが安心です。
風の強い日は、何を見る?

風の日は、話が少し変わります。空気を通す服では、風が中まで入りこむことが、保温が下がる大きな原因です。
厚いウール地も、風に強いとは限りません。1956年の論文は、米海軍の外套に使う厚手のウール地を調べました。風のない所では、暖かすぎるほど。ところが厳しい条件では、風を防ぐ効率が悪いという評価でした。メルトンなどの生地のことは、素材の選び方の記事にまとめています。
ダウンの側では、羽毛を包む生地を見てみましょう。IDFL によると、羽毛が抜けにくい生地には、通気度の低い値が望まれます。低い値は、空気を通しにくい生地であることも表します。
薩本教授も、上着には風を通しにくく保温の高いものを、と勧めています。その例に挙げるのが、ダウンです。どちらを着る日も、外側の一枚が風を通しにくいかを見ておきましょう。
雪や雨の日は、何に気をつける?

濡れると、服の暖かさは落ちます。濡れた服では、触れて伝わる熱の損失が最大5倍に増えます。米国アスレティックトレーナー協会の声明にある数字です。
ダウンも、濡れには弱い素材です。ニュージーランド自然保護省は、ダウンは濡れると保温の力を失うと書きます。雨の中で着るなら、化繊のほうがよいかもしれない、とも添えています。
修士論文の抄録でも、濡れると厚みが減り、熱を通しやすくなりました。ただ、乾かしてほぐすと、もとの性質はおおむね戻ったそうです。一方の羊毛は、表面のスケールが水滴をはじき、湿気は通します。百科事典にある説明です。
ダウンをおうちで洗うなら、まず脇の洗濯表示で、家で洗えるかを確かめます。ウェザーニュースが花王に取材した記事によると、水は30℃以下。羽毛は乾きにくいので、中までしっかり乾かすのが大事です。生乾きのまましまうと、カビやニオイの原因になります。
気温と重ね方で、どう使い分ける?

気温の目安も見ておきましょう。ウェザーニュースは、「8℃未満」の日に冬物コートを挙げます。「5℃未満」では、ダウンコートを挙げています。ダッフルを何℃から着るかは、気温の目安の記事にまとめました。
ダウンは、外に着るだけのものでもありません。ニュージーランド自然保護省は、山歩きの服装を層に分けて示しています。ダウンや化繊のジャケットは、保温の層。その外に、雨と風を防ぐ層を重ねます。
重ねるときのコツは、ゆとりです。薩本教授によると、外側ほど少しずつゆとりを持たせて重ねるのがよいそうです。肌着を何枚も重ねると、暖かい空気の層がつぶれてしまいます。迷ったら、その日の気温と風、雪や雨の予報から選びましょう。
まとめ
- 暖かさのカギは、動かない空気の層と厚み。ダウンは、割合とフィルパワーを見る。
- 風の日は外側の一枚が風を通しにくいか、雪や雨の日はダウンの濡れを気にかける。
- 気温の目安を参考にして、中はゆとりを持たせて重ねる。
この下の一覧は、ウール100% とウール80〜99% の商品です。ウールの割合や丈、色、性別でも絞り込めます。
この記事で確かめられなかったこと(12 件)
- 当サイトはコートを着比べたり、暖かさを試験したりしていません。
- ダッフルとダウンの暖かさを、同じ条件で測って比べた資料は見つかりませんでした(風の中や濡れた状態も含めて)。
- ダウンの高い保温性のしくみは、まだ完全には説明できていない、と2007年の論文の抄録は書いています。
- ダウンの厚み・割合・濡れの話は修士論文の抄録で、査読を経た論文ではありません。割合の実験の試料は、フィルパワーが500未満のものだけです。
- 保温が厚みと連動したマネキンの測定は、毛布や救助袋を測ったもので、ダウンの上着ではありません。
- フィルパワーの数字と、着られる気温を結びつけた資料は見つかりませんでした。
- 「ダウン」と表示するための最低の割合は、繊維製品品質表示規程には見当たりませんでした。
- 1956年の論文の生地は米海軍の外套のカージー地で、ダッフル地ではありません。
- 市販のダウンの上着の表地が、どれだけ風を通しにくいかは確かめられませんでした。
- 羊毛が水滴をはじく説明は繊維についてのもので、厚手のコート地で同じかは確かめていません。
- 濡れたダウンの保温が何割下がるかは、出典をたどれる資料が見つかりませんでした。
- ウェザーニュースの目安には、最高・最低気温の別や、ダッフルが「冬物コート」に入るかは書かれていません。ダッフルの下にダウンを着ることを勧める公的な資料と、ウールのコートの手入れの公的な資料も、見つかりませんでした。
出典(17 件)
- 保温効果を高めるには? 寒さをブロックする正しい「重ね着」テクで省エネに!(ウェザーニュース)
- ガチョウのダウンを詰めた防寒ジャケットの熱移動の実験と数値解析(Majid Movahedi、イスファハン工科大学 修士論文、英文抄録)
- Protection against cold in prehospital care-thermal insulation properties of blankets and rescue bags in different wind conditions(Prehospital and Disaster Medicine、2009)
- 羽毛(コトバンク)
- 繊維製品品質表示規程(消費者庁)
- 繊維製品品質表示規程 表示の方法(消費者庁)
- Natural and Synthetic Fill Testing Options(IDFL)
- Conditioning Methods Evaluation(IDFL)
- The design of effective clothing for use in windy conditions(International Journal of Clothing Science and Technology、1989)
- The Design and Laboratory Evaluation of an Improved Navy Overcoat Fabric(Textile Research Journal、1956)
- Downproofness vs. Air Permeability(IDFL)
- National Athletic Trainers' Association Position Statement: Environmental Cold Injuries(Journal of Athletic Training、2008)
- How to dress for success in the great outdoors(New Zealand Department of Conservation、2024)
- 羊毛(コトバンク)
- 洗い方と干し方で差がつく! ダウンをぺちゃんこにしない洗濯方法(ウェザーニュース)
- 12月の気温に応じた服装選び 何℃でダウンコート着る?(ウェザーニュース)
- Structures and Properties of the Goose Down as a Material for Thermal Insulation(Textile Research Journal、2007)
この記事は、出典で確かめられる事実をもとに AI(Claude)が作成し、運営者が掲載しています(このサイトについて)。
