ダッフルコートは寒い? 暖かく着るには

疑問解決 ・

厚手のウールなのに、風の日のダッフルはなんだか寒い。そんな日、ありますよね。

寒く感じる理由は、生地の厚さだけではありません。この記事では、寒さのしくみとつくりを見て、閉じる所と重ね方をまとめます。

厚いウールなのに、風の日は寒い?

横から吹く冷たい風に、裾と袖がはためく紺のダッフルコート(AI 生成イメージ)
横から吹く冷たい風に、裾と袖がはためく紺のダッフルコート(AI 生成イメージ)

肌のすぐそばには、暖かい空気の薄い層があります。米国アスレティックトレーナー協会の声明によると、風はこの層を運び去ります。代わりに来るのは、冷たい空気です。走ったり自転車に乗ったり、自分が動いて空気を切るときも同じです。

服でも、似たことが起きます。空気を通す服では、風が中まで入りこむことが、保温が下がる大きな原因です。風と歩く動きの影響を、多くの研究からまとめた論文もあります。空気を通しやすい防寒服ほど、影響は大きく出ました。

厚い生地でも、風に強いとは限りません。1956年の論文は、米海軍の外套に使う厚手のカージー地を調べています。風のない所では、暖かすぎるほど。ところが厳しい条件では、風を防ぐ力が弱いという結果でした。メルトンなど生地のことは、素材の選び方にまとめています。

風の中で、救急用の毛布や救助袋を測った研究もあります。風が中くらいから強くなると、差が出ました。風を通す素材や軽い素材は、保温が元の3〜5割ほどに下がったのです。風速と体感の目安は、「何度から着る?」の記事へどうぞ。

暖かい空気は、どこから逃げる?

トグルを留めたダッフルコートの襟元、袖口、裾から、暖かい空気がふわりと抜けていく様子(AI 生成イメージ)
トグルを留めたダッフルコートの襟元、袖口、裾から、暖かい空気がふわりと抜けていく様子(AI 生成イメージ)

服の中で温まった空気は、上へのぼって襟元から出ていきます。これが「煙突効果」です。体を動かすと、服のすき間から空気が出入りします。こちらは「ふいご効果」と呼ばれます。

服の換気を測った研究があります。襟・袖口・裾を開けた服は、閉じた服より空気がよく入れ替わりました。向かい風の中を歩く条件も含めた測定です。

被服環境学の薩本弥生教授も、こう話しています。大切なのは、まとった暖かい空気を逃さないこと。服の出口は、首元・袖口・裾です。ダッフルでは、ここがどうなっているでしょう。

ダッフルのつくり、どこを見ておく?

紺のダッフルコートの、首元のタブと木のトグル、ロープのループのクローズアップ(AI 生成イメージ)
紺のダッフルコートの、首元のタブと木のトグル、ロープのループのクローズアップ(AI 生成イメージ)

英国の国立海洋博物館の所蔵品に、1944年製の英国海軍のダッフルがあります。前は4つの木のトグルとロープのループで留め、裏地はありません。フードには引きひも、袖口には幅を調整するタブが付いています。

コートメーカー GLOVERALL の今の商品ページも、見てみましょう。留め具は木のトグルとジュートのロープで、裏地はなし。首元には、固定のタブ(スロートタブ)があります。型は、ゆったりした「Oversized fit」です。

前の留め方、首元、ゆとり。暖かく着るために、見ておきたいところです。フードの使い方は、フードの記事にまとめています。

首・手首・足首は、どう守る?

洋裁のボディに着せた紺のダッフルコート。トグルと首元のタブを留め、厚手のマフラーを巻いている(AI 生成イメージ)
洋裁のボディに着せた紺のダッフルコート。トグルと首元のタブを留め、厚手のマフラーを巻いている(AI 生成イメージ)

環境省は、首・手首・足首の「三つの首」を温めるよう勧めています。太い血管のある所を温めると、体全体が温まる、という説明です。道具には、マフラー、手袋、レッグウォーマーを挙げています。

首元は、トグルを一番上まで留めましょう。首元のタブは、厚手のニットのマフラーと合わせやすいつくり。GLOVERALL は、そう説明しています。タブを留めて、マフラーを巻く。これで首元をしっかり覆えます。

手首と足首も、風に気をつけたい所です。気温マイナス5℃で冬服を着て、風の中を歩く実験がありました。風が強いほど、手の指など体の末端の皮膚温が下がっています。手袋で手首まで覆い、足首は靴下やレッグウォーマーで包みましょう。

中は、何をどう重ねる?

肌着、ウールのセーター、ダッフルコートを、内側から外側へ少しずつずらして重ねた様子(AI 生成イメージ)
肌着、ウールのセーター、ダッフルコートを、内側から外側へ少しずつずらして重ねた様子(AI 生成イメージ)

重ね着は、3つの層で考えると整理しやすくなります。米国アスレティックトレーナー協会の声明が勧める組み立てです。

汗でぬれた服にも、気をつけましょう。同じ声明によると、ぬれた服では、触れて伝わる熱の損失が最大5倍に増えます。

中間は、ゆったり重ねるのがコツです。NIOSH(米国の国立労働安全衛生研究所)も、ゆるい服を何枚か重ねるよう勧めます。きつい服は手足の先の血の巡りを悪くする、とも書いています。空気の層のつくり方は、「何度から着る?」の記事でも紹介しています。

サイズは、どれくらいゆとりを見る?

前を開けて置いた紺のダッフルコートと、中に重ねる厚手のケーブル編みのセーター(AI 生成イメージ)
前を開けて置いた紺のダッフルコートと、中に重ねる厚手のケーブル編みのセーター(AI 生成イメージ)

中にセーターを着るなら、コートにもゆとりが要ります。GLOVERALL のサイズガイドは、ゆったりした型をこう説明します。厚手のセーターを中に着ても突っ張らない、ゆとりのある裁断です。

細身の型で厚手のセーターを着るなら、大きいほうのサイズを。採寸はセーターの上ではなく、薄着の上から。どちらも、同じガイドの案内です。

ただ、ゆとりには別の面もあります。先ほどの換気の研究では、ゆとりの大きい服も測っています。腕や脚では、ゆとりの大きい服のほうが空気がよく入れ替わりました。ゆとりを選んだら、首元と袖口を閉じることもセットで考えましょう。

まとめ

この記事で確かめられなかったこと(10 件)
  • 当サイトはコートを着比べたり、試したりしていません。
  • ダッフルそのものを風の中で測った資料は見つかりませんでした(風の数値は、救急用の毛布などを測ったものです)。
  • メルトンのダッフル地が、どれくらい風を通すかの数値は見つかりませんでした。
  • トグルとループの留め方が、ボタン留めより風を通しやすいかは確かめられませんでした。
  • 首元のタブや丈、裏地の有無で、暖かさがどれだけ変わるかは確かめられませんでした。
  • 襟・袖口・裾の換気の研究は、汗をかく運動時の服のためのもので、寒い日の保温そのものは測っていません。
  • マフラーを巻いたり首元を閉じたりしたとき、どれだけ暖かくなるかの数値は見つかりませんでした。
  • ゆとりのある服で首元や袖口を閉じたときの効果を、まとめて測った資料は見つかりませんでした。
  • 今のダッフルに袖口を調整するつくりがあるかは、調べた商品ページには書かれていませんでした。
  • 3つの層の重ね方は、運動する人に向けた声明のものです。
出典(14 件)
  1. National Athletic Trainers' Association Position Statement: Environmental Cold Injuries(Journal of Athletic Training、2008)
  2. The design of effective clothing for use in windy conditions(International Journal of Clothing Science and Technology、1989)
  3. Correction of clothing insulation for movement and wind effects, a meta-analysis(European Journal of Applied Physiology、2004)
  4. The Design and Laboratory Evaluation of an Improved Navy Overcoat Fabric(Textile Research Journal、1956)
  5. Protection against cold in prehospital care-thermal insulation properties of blankets and rescue bags in different wind conditions(Prehospital and Disaster Medicine、2009)
  6. 素材布の通気性,衣服の開口部とゆとりが衣服換気に及ぼす影響:身体部位差に着目して(上田博之・井上芳光、デサントスポーツ科学 Vol.28、PDF)
  7. 保温効果を高めるには? 寒さをブロックする正しい「重ね着」テクで省エネに!(ウェザーニュース)
  8. Duffle coat ZBA2841(Royal Museums Greenwich)
  9. Men's Original Monty Duffle Coat(GLOVERALL)
  10. Men's Mid-Length Monty Duffle Coat(GLOVERALL)
  11. ウォームビズとは(環境省)
  12. Thermoregulatory responses to air temperature of -5 °C at different wind speeds: significance of strong wind in a mild cold environment(Journal of Physiological Anthropology、2026)
  13. Fast Facts: Protecting Yourself from Cold Stress(NIOSH、PDF)
  14. Size Guide: How to Measure and Find Your Fit(GLOVERALL)

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